きよしこ

きよしこ

重松清さんってあの「ナイフ」の?たしか中学生の頃読んだけど、ショックだけで内容はあんまり覚えてないな…と思いながらも読んでみました(いじめを扱った作品って読んでいてつらいので好きではない)。結論から言うと、こんなに泣いた本は久しぶりでした……。“吃音”、いわゆる“どもり”なある男の子の少年時代を淡々と語っている作品で、この方の表現・描写はやっぱり心に残るものではないと思いますが、各エピソード・各人物がとても印象的で、「ナイフ」のように忘れることはないだろうなと。特に「交差点」のエピソードには終始号泣。中学時代に同じような経験をしたことがあるので、シラ(主人公)の思いに泣き、自分の思い出に泣き…(考えてみると、今のわたしはあの経験がなければ存在しなかっただろうと、わたしにとってはそれくらい大きなできごとだった)。ああ…今思い出しただけでも涙が…!オーくん!…こんなふうに、きっと誰もが、自分の少年・少女時代につながる何かを感じる作品なんじゃないでしょうか。胸の締まる、いとしい物語です。