アジアンタムブルー (角川文庫)

アジアンタムブルー (角川文庫)

読了。ひとつ前の記事で紹介した「パイロットフィッシュ」の続編ですが、時間軸的にはこちらが先になっていて、どっちから読もうが片方だけ読もうがまー問題はないかと思います。前作は書いたように透明な印象でしたが、今作は何せ「キレイ!!」な印象でした。たとえば余命も少なく衰弱した女性がうつくしいわけがないし、まして夜の営みを行えるわけもない。(もっというと最期をあんなふうにゆったりと幸福に(気持ちの面でね)迎えられるわけもないと思うんですが、それはわたしの根性がひん曲がっているからなのでしょう。うん)と、ぱっと思い浮かんだ分だけでも「うそ〜?」と思うところは多々あったんですが、それでも読み終わったあとのこの幸福な感じはとても心地のよいもので、違和感は多少あれども不快ではないくらい。この方の作品を読むとわたしどうしてこんなにも心地よいんだろうと考えてみたところ、たぶん会話だという結論に至りました。彼らの会話がすべて、相手がどう応えるかあらかじめわかっているかのようになめらかで、そのすべすべ感こそがわたしの憧れというか目指すところというか、欲しているものだから、焦れるほどこの方の創る世界をわたしは好きなんだと思います。すべすべ感。「とてもいいもの」とは言えないかも知れませんが(だって物語に意外性は少なからずあるべきだと思うし)わたしたちが生きていく、生きていこうとするときにもっとも必要なもののひとつ。理解とか見返りを求めない愛とか、許すこととかそういうもの。わたしは前作のほうが好きでしたが、映画化した事実もあるように大衆ウケするのは間違いなくこちらでしょうね。主題がはっきりしてるし、それぞれ人物像もきちんとできあがっていて伝わるし、それに何より純愛(いや、純愛風というほうが近いか?あるいはこれこそ純愛そのものなのかも。わかんない)モノなので。なんだかんだ言ってますが泣きました、わたしも。
ちょっと話はそれますが、大崎さんの書く男性像/女性像ってとてもわかりやすいですよね。たぶんとても堅気な方なんだろーなっていうのがぐんぐん伝わってくるというか。これホント想像でしかありませんが、自宅でもベッドメイキングとかきちんとしてそうな。シーツはいつもぱりっとしてそうな。学生時代、試験勉強はきっちり1か月前から始めてたんだろーなとか。神経質そうっていうんじゃないけれど、そうすることをごく当然と思っていそうな、育ちの良さそうな…イメージ。別にそれがどうっていうんじゃないんですけどね。ただ何となく思いましたという話。


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こちら4作品も最近触れました。久々に「私の頭の中の消しゴム」観ました。号泣。なんだろう…特に「好きだな〜!」とも思わないんですけど、あの、家中にメモが貼ってあるシーンに泣き崩れてしまう。公式サイトでストーリーちらっと眺めるだけでもうアウトだもんなあ…。