ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)

ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)

読了。うーん、何ていうか…とても短いお話だったなーという印象がいちばん強いかも知れない。「ブラフマンって何?」と思うところから始まって、「え、それって可愛くないよね?」経由で「ブラフマン愛しい!」に行き着いた途端、物語が急に終わってしまった感じ。ページ数少ない上に行間が広いからホントあっという間に読み終わっちゃいます。それから、この作品を読んでいて考えを馳せたのが「許さないということ」について。たとえば「僕」はいつだって、何をしたってブラフマンを許すし、レース編み職人も前に挙げた2人を最後には許し慈しむ(ついでに言うと「僕」も、ブラフマンの埋葬の際に招待するという形で、レース編み職人を許している)。「僕」は娘をちっとも責めないし、碑文彫刻師は娘はもちろん、「僕」の不注意(というかこの場合はどういうんだろう、「切なくも自分本位な順位づけ」?)も決して責めない。許すことの極めつけは、ブラフマンの最期。ブラフマンの、誰を責めることもなく、ただ愛し依存して死んでいく様。見え隠れするそれぞれの自己中心的な部分、すべてを許すかのように無垢なブラフマンの姿。じゃー「許さないということ」ではなく「許すこと」について思いを馳せろよ、というところなんですけど。これはわたしがひねくれているからなのか…。
とても優しい本です。小川洋子さんの作品は「まぶた」のような暗い感じのも好きだけど、これだとか「博士の愛した数式」だとか、あたたかいパステルカラーな作品もすごく好き。乙一さんを「黒乙一」・「白乙一」と表すことがあるそうだけど、この方もまさにそうだと思う。黒と白を行ったり来たりしているわけではないけど。


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あとこれ観ました。うーん…イマイチ。